誘惑するメディア―同時代を読む哲学
- 作者: 宇波彰
- 出版社/メーカー: 自由國民社
- 発売日: 1994/05
- メディア: ペーパーバック
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おそらく、記号論というカテゴリに入る哲学書。
軽い気持ちで読み始める。
各小論文が短いので、読みやすいが、ツッコミに欠けるか?
188ページからの、小論文である、「世界としての会社」が印象深い。
現代日本の社会は、法人至上主義であると捕らえる一文である。
教育システムは「良い会社」に入るための「会社員養成所」になっており、「会社員」となってから後も、子息を「良い会社」に入れるために、一生懸命働くとする考え方。
...なるほど。
また、日本式の終身雇用制度は、その源流を第2次大戦中の日本の戦時計画経済の思想のなかに求める事もできるとする考え方。
こちらも、なかなか興味深い。
日本の雇用形態がこの時期に人為的に作られたものであるのであれば、なぜ日本の雇用がこれほど、特殊性を持つのか良く理解できる理論である。
なるほど、現代日本の「資本主義」とは「法人資本主義」と置き換えて考えてみるのも面白い。
こちらの理論からすれば、ワタクシの様な、低学歴、コネ無しの人間は、「法人資本主義」システムの中で勝負するのは、誠に具合が悪い。
きっぱりと、会社員生活からオサラバするのも良いかも知れない。